台湾の植物第3回は台北植物園で見かけた植物の一部です。
台北植物園は、元は日本統治時代の1896年に台湾総督府が南方の植物を研究するために造った施設で、現在は林業試験場の管轄下にあります。約8ヘクタールもの広大な敷地に約1500種類もの植物が栽培されています。台北植物園へは、土壌改良の研修で行きましたので、樹木は通りすがりに少し見ただけなので、次回、台北に行く機会があれば、ゆっくり見たいところです。
最初は、「春不老」という木です。「春不老」はヤブコウジ科の常緑小高木で、和名は「コウトウタチバナ」と言います。国際自然保護連合のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
実は濃い紺色に熟し、自生地では魚の香づけに利用されます。
次は「喜樹」というめでたい名前のついた木です。「ヌマミズキ科」の常緑高木で日本では「カンレンボク」と呼ばれています。果実や根をはじめ植物全体にカンプトテシンという抗癌物質が含まれています。この木は大阪でも見ることができます。
「黄果垂榕」はクワ科の常緑高木で、別名、シダレガジュマルとかベンジャミンゴムノキなどと呼ばれます。日本ではベンジャミンの名前で観葉植物として親しまれています。広い樹冠を形成し、自生地では15~20mの高さになります。
土壌改良の研修の現場の近くにあったのが、「蠟陽樹」です。ノウゼンカズラ科に分類される樹木で、ソーセージノキの仲間です。花は釣鐘型でカエンボクに似ていますが、水平に咲き、受粉はコウモリにより行われます。ソーセージのような丸くて長い実がつき、いろいろな哺乳動物の餌になります。
次は紅色の花が鮮やかな「印度火筒樹」です。ブドウ科の常緑低木で日本では「キダチブドウ」と呼ばれています。根からは抗癌物質が取れることから、近年注目されている木です。
最後に「欄嶼肉豆蔲」の紹介です。この木はニクズク科の常緑高木で、和名はコウトウニクズクと言います。黄色い果実がなっていましたが、種子はナツメグ(肉豆蔲)、仮種皮をニクズク花(肉豆蔲衣)と呼び、ともに香辛料、薬用として利用されてきました。
以上で台北植物園の樹木の紹介はおしまいです。
真田 俊秀