本州最南端に位置する和歌山県串本町は、太平洋に面していて、沖を流れる黒潮のせいもあり、年中、温暖な気候です。
 また世界で唯一の「非サンゴ礁海域に存在するサンゴ礁」があり、ダイビングやカヤック、釣りなどのマリーンスポーツが楽しめます。
 平成27年9月末には、すさみ町まで高速道路が延伸され、大阪からもずいぶん近くなった。
 その串本町の南端に紀伊大島という、面積約9.68km2、周囲28kmの小さな島があります。
 江戸時代は、大阪から江戸に向かう船の中継基地として、また捕鯨の港として大いに栄え、明治時代は年間千数百隻の千石船が停泊し、漁港としても大いににぎわったところでもあったそうです。
 現在は、くしもと大橋が出来、陸続きになり港も昔の面影はありませんが、沖合いを通る船は多相変わらず多く、飛行機も上空を通り、海や空の交通のおおきなポイントになっています。

 

紀伊大島漁港

紀伊大島漁港

 

 温暖な気候のせいか生育する樹木も、大阪ではあまり見られない木がたくさんあり、その中で目についた樹木の一部を紹介します。
 最初はという木です。カンコノキは暖地の海岸に生育するトウダイグサ科の落葉低木です。
 名前の由来は葉の形が、かんこ舟に似ているところからついたようです。
 材は黒色をしており、昔から櫛や印鑑などの材料として用いられ、コクタンノキとも呼ばれています。

 

カンコノキ

カンコノキ

 

 次はオオシマザクラです。オオシマザクラは自生地が伊豆大島とその周辺の島とされ和名の語源とされています。
 同じ紀伊大島にも自生地があるのは偶然の一致でしょうか。

 

オオシマザクラ

オオシマザクラ

 

 お次はヤマモガシという木です。ホルトノキは別名をモガシといいますが、ヤマモガシという木は、夏にブラシのような花をつけます。若木の葉には鋭い鋸歯がありますが年数がたつと鋸歯がなくなり全縁となります。

 

ヤマモガシ

ヤマモガシ

 

 大阪では泉州で見ることができるタイミンタチバナを紹介します。
 タイミンタチバナの葉はキョウチクトウの葉によく似ています。違いはキョウチクトウの葉の裏は平行した側脈がよくわかりますが、タイミンタチバナの葉の裏はよくわからないので区別できます。

 

タイミンタチバナ

タイミンタチバナ

 

 アコウはクワ科イチジク属の常緑の高木で、和歌山県では海岸沿いでよく見かけます。
 別名、絞め殺しの木といわれ、ヒゲのような気根や編み目のような幹を、他の樹木にからませているのを見ることができます。
 絞め殺しの木の語源は、鳥や動物がアコウの実を食べたあと、他の樹木の上で糞を排泄し、中にあった種が幹の上で発芽して、気根をたらし、その気根が大きくなり元からあった樹木を枯らすことから。
 なんとも、たくましい木です。
 また植物が花粉を運ぶためには風や水、鳥やチョウやハチなどの力を借りていますが、アコウはアコウバチという昆虫の力を借りています。
 そしてアコウはこの昆虫をイチジクみたいな果実のなかに寄生させて育てています。まさに共生の関係です。そういった関係も影響してアコウは年中、実をつけています。

 

アコウ

アコウ

 

 そしてハドノキという木もよく見かけます、
 イラクサ科の樹木で、常緑の小高木。牛馬の飼料に使われたことがあるそうで、ヤナギイチゴに似た白い果実をつけますが、ヤナギイチゴの果実と違っておいしくないそうです。

 

ハドノキ

ハドノキ

 

 最後に串本といえば橋杭岩が有名です。夜明け前の橋杭岩を星と一緒に撮影しました。

 

夜明け前の橋杭岩

夜明け前の橋杭岩

 

 紀伊大島は昔、トルコの軍艦が遭難して、地元の漁民たちが救助活動をしたことでも有名なところです。灯台からは太平洋の広さを実感できます。魚もおいしく、ゆっくりと泊まりたくなる場所だと思います。
             
  真田 俊秀