近所の小学校の校長先生からのお便りを孫が持って帰りました。
運動場の端に生育しているソメイヨシノの大木に、沢山のキノコが出ている。 根元に大きな穴があいている。地際から切り倒そうと思うが、一度、診断してもらえないか、という依頼でした。
同じ小学校区に在住する女性樹木医と一緒に小学校を訪問しました。 外観は元気そうな木でしたが、近くで見ると大変な木です。
① 幹の西側の地際に縦約80cm、横約40cmの開口空洞がある。
② 幹の北側、地上高約70cmにコフキサルノコシカケ(笠高約20cm、笠幅約15cm)が出ている。
③ 地上高約1.5mで2叉に分岐しており、入皮になっている。その入皮部分にカワウソタケが出ている。
④ 大枝のあちこちにカワラタケ、カワウソタケ、サビアナタケが出ている。
以上の状態を校長先生、教頭先生に説明し、児童の安全のために、伐採せざるを得ないことを勧めました。 校長先生は教育委員会にも連絡し、教育委員会の職員3人にも木の下で同じ説明をしました。
この小学校は創立以来55年ですので、ソメイヨシノの寿命からすると、立派に天寿を全うしたものと信じたいです。 それにしても樹木医の決断で 「樹の命が守れない。 児童の安全を優先する」 ことは辛い立場ですネ。
この木の切り株は、今、腰掛け状に仲間の「御丁重若い衆」に美容整形してもらいました。 朽ち果てるまで児童達の安全を見守ってくれることでしょう。
この木の伐倒で、2ツの小学校の由緒ある樹木の最後を見届けました。
樹木医自身が身を切る思いの決断でした。

澤田 清

 

ソメイヨシノ調査診断平成24年7月10日

ソメイヨシノ調査診断平成24年7月10日