韓国の天然記念物を訪ねるツアー(研修会)から1年が過ぎた先週、韓国 慶尚北道にある天然記念物などを探訪してきた。季節的にやや遅いがヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃ)の花を見ることが第1の目的であった。釜山 金海空港に降り立つと半袖でも暑いくらいである。緯度的に京都から金沢あたりに相当し、まだ長袖が必要な時期と思いきや左に非ず、暑いこと・・・、
 金海空港の駐車場内に見覚えのない樹木が植栽されており、早速、同行のM樹木医、K樹木医が検索、見慣れぬ葉(写真1)、樹肌に四苦八苦、この木は「なんじゃ?」となり、拙い韓国語でこの木は「なんじゃ?」と案内役の韓国の樹木医I氏に助けを求める。こんな木も知らんのかとばかり、やや訛りの或る慶尚弁で「イパップナム」と返答。なんと! これがヒトツバタゴ、「なんじゃもんじゃ」、まさかと半ば疑いの目で再度、樹木を見る。辛うじて残る花柄で「らしき」の疑念を抱いたまま、第1目的のヒトツバタゴの天然記念物がある金海市を訪ねる。金海 酒村面のヒトツバタゴ(天然記念物第307号) 樹齢500年、樹高18.3m、胸高周囲4.47m、樹冠幅 東西17.5m、南北15.7mに及ぶ巨樹である。(写真2、3)期待した花は既に散っており葉ばかりさん。ここでも我々が見慣れた葉の様相と若干違い、空港で抱いた疑念は払拭できず。やはり国、気候が異なると樹木まで・・・
 例年、5月の中旬くらいが満開の時期らしい、韓国も地球の温暖化の影響かな、満開の風景に諦めきれず、疑念の払拭がとけないまま、慶州、安東と北へ老巨樹を訪ね、車を走らせる。道すがら街路樹にヒトツバタゴが植栽され、樹冠が白く、まさにご飯(韓国ではご飯の木の名前がある)を盛りつけたような姿の樹木が見えた。花、葉を見ると馴染みのヒトツバタゴ、「なんじゃもんじゃ」である(写真4、5)、実に美しい。もう少し早い時期に訪ねていれば壮観な樹相が楽しめていたのであろうに。因みに安東(金沢くらいかな)では満開の時期であった。
 今回の第2の目的は、安東にビャクシンとハイビャクシンの中間型で低く横に樹冠を広げるゴガンビャクシン(天然記念物第314号)樹齢550年、樹高3.2m、樹冠東西14.7m、南北12.2m (写真6、7)と醴泉の石松霊(天然記念物294号) 樹齢600年、樹高11.0m、胸高周囲3.67m、樹冠幅 東西19.4m、南北26.2m (写真8、9)を訪ねること、いずれも見事な樹形を持つ老巨樹、圧巻され、胸が高まり、思わず抱きつきたくなるほどの容姿である。文才の関係で詳細に報告できないのが心惜しい。また何かの機会で、
 それぞれに歴史・文化があり、人との関わり(因縁)のある樹木である。地域の人々の熱き想いと汗が浸み込み数多くの年輪を刻んだことであろう。
(日韓樹木文化・老巨樹研究協会 浅川)

 

写真1 金海空港駐車場のヒトツバタゴの葉

写真1 金海空港駐車場のヒトツバタゴの葉

 

写真2 金海市酒村面のヒトツバタゴ

写真2 金海市酒村面のヒトツバタゴ

 

写真3 金海市 酒村面のヒトツバタゴ

写真3 金海市 酒村面のヒトツバタゴ

 

写真4 ヒトツバタゴ

写真4 ヒトツバタゴ

 

写真5 ヒトツバタゴの花

写真5 ヒトツバタゴの花

 

写真6 安東 眞城 李氏の古宅とビャクシン

写真6 安東 眞城 李氏の古宅とビャクシン

 

写真7 ビャクシン

写真7 ビャクシン

 

写真8 醴泉の石松霊

写真8 醴泉の石松霊

 

写真9 醴泉の石松霊

写真9 醴泉の石松霊