ある日の夜、風呂に入り体を洗っていた時、ふと左足のふくらはぎをみると、赤く腫れているではないか。それでも痛みは全然なく、中心部には黒い点があった。最初は、それはカサブタかなと思った。しかし、いつできたものか記憶にないし、おかしいなあとよくよくみると、それはまさにマダニが足に咬みついている状態であった。

 マダニは吸血場所に鋭い歯で咬みつき、ノコギリのような歯を皮膚の奥に差し込み、その際に唾液をセメントのように固めて接合部を完全に固定し、吸血するそうである。
 無理に引き抜こうとするとマダニの頭部や差し込まれている牙が体内に残ってしまい、感染症などのリスクが高まるそうである。

 ではどうすれば良いのか。マダニの対処法を調べてみると
① タバコの火を近づける。……やけどする可能性があるのでやめる。
② 熱湯をかける。……絶対やけどするのでやめる。
③ アルコール綿で包む。……あいにくアルコール綿がなかった。
④ ワセリンで窒息させる。……あいにくワセリンは家にはなかった。
⑤ 血を吸い終わるまで待つ。……そんな悠長なことは出来ない。
⑥ 病院へ行き取ってもらう。……もう夜なので病院は閉まっている。

 ということで適当な対処法がない。どうしようかとしばらく考えた末、思い切って引き抜くことにする。
 エイヤーと引っ張ると、運よくポロっときれいにとれた。その時のマダニの肉眼の写真である。体長は2mmぐらいで元気に動き回っている。

 

マダニ肉眼写真

マダニ肉眼写真

 

 拡大鏡でみてみると、クモによく似て足は8本ある。こうしてアップで見ると、さらに気持ちが悪い。咬まれたのを知らずに放っておくと1週間以上も吸い続けるそうである。

 

マダニ拡大写真

マダニ拡大写真

 

 マダニを引き抜いた後、1週間ほど、痒みがとれず腫れも引かなかった。
 幸い私は軽傷で済んだが、重症なら熱が出て寝込んだり、死に至ることもあるそうである。私も本来なら病院へ行き、診察をしてもらうべきだったかもしれない。

 マダニは草原の茂みや笹などに普通にいるので、皆さんも注意をして下さい。

 真田 俊秀