枝の正しい剪定は幹と枝の接合部の上に現れる皺状の構造と枝瘤を残す切り方(ナチュラルターゲットカット)が良いことはShigoがCODITモデルを提唱し、現在基本的に支持されています。
そして逆に正しくない剪定は幹に平行に深く切り落とす切り方(フラッシュカット)や枝を切り残した切り方(スタブカット)といわれています。
植物の傷口をふさぎ防御層を十分につくることを主眼におけばこれは正しいでしょうが、そこに他の生き物が絡んでくるとそうともいえない場合があります。
この写真は枝が枯れて折れてしまったか、剪定時に残された枝があったイチョウの木で、その残された枝にキツツキの一種のコゲラが営巣しているところです。(東京都港区にて)
都会の真ん中にもかかわらず、このような野鳥が生息できるのは残された枯れ枝のおかげと言えるでしょう。
この写真は折れた枝を利用してモズが食料であるバッタを突き刺し“はやにえ”をたてているところです。(奈良県奈良市にて)
人間の世界であれば“アジの開き”を作っているような感覚なのでしょうか。
これは万葉集にも“草具吉(くさぐき)”と読まれている古くから知られた習性のようです。
モズにとっては冬の食糧不足時の大切な保存食なのでしょう。
これらは正しい剪定を行っていれば見ることのできなかったことだと思います。
なかなか「絶対正しい」と言い切ることができることは少ないですね。
(ニシ)