平成23年6月17日に台湾は阿里山に登ってきました。千葉県の樹木医によるNPO法人「樹の生命を守る会」のメンバー約20人が阿里山ツアーを実施するというので、仕事での台湾出張のタイミングをうまく合わせ同行することができました。
私にとって阿里山は鬼門の場所です。昨年2月に街路樹診断協会の主催でソメイヨシノの治療に来ました。NPOおおさか緑と樹木の診断協会のKさんやTさんらも参加され、一緒に治療を行いました。その際、頚椎骨折という大怪我を負い死に掛けた場所です。怪我のおかげで阿里山名物のご来光を拝むことが出来なかったので、今回はリベンジです。
16日昼に台湾新幹線「嘉義駅」を下車しました。嘉義県は北回帰線が通る所です。丁度夏至の頃ですから、強烈な太陽が真上から脳天を直撃します。気温は37℃。大汗をかきながら車に乗り込みいざ阿里山へ。6時前に標高2000m地点の阿里山賓館に到着しました。前回も泊まった由緒正しき高級ホテルです(天皇陛下はじめ著名人が多く宿泊されています)。気温は16℃、とても快適です。
翌朝は3時に起きて阿里山山頂まで念願のご来光を仰ぎに行きました。気温は11℃、暗闇をわずかな明かりを頼りに皆でぞろぞろと登ります。普段なら阿里山森林鉄道に乗車して行けば済むのですが、あいにく鉄道は運休しています。阿里山鉄道は日本統治時代に木材運搬用に敷設された鉄道です。前回来たときも2009年6月の台風で鉄道が被害を受け運休していました。その後復旧したのですが、今年4月27日に線路脇の大木(台湾の新聞にはブナ科の大木が腐朽で倒木と記されていました)が丁度通過中の列車に倒れ、中国人観光客5人が死亡、113人が重軽傷という大惨事が発生したのです。そしてまた運休です(この事故は東日本大震災の報道で日本ではほとんど取り上げられませんでした)。
午前4時50分、ぎりぎり日の出前に間に合いました。念願のご来光です。少し雲がかかっていましたが、なかなか神秘的なご来光を拝むことが出来ました。しかし、厳粛なるご来光の最中、中国人団体のガイドがまるで演説のような大声を張り上げ説明していたのには少々驚かされました。さすが世界を凌駕する勢いの中国人。
その後ホテルまで帰り朝食を済ませ、紅檜の大木見学や昨年治療したソメイヨシノの状況確認を行いました。治療したソメイヨシノは少し元気になっていました。でも、周辺のサクラはすべてテングス病だらけです。早い処置が望まれます。これらのサクラは日本統治時代に植えられたものです。
昼前には千葉県の樹木医さんらとわかれ、私は下山して仕事に戻りました。標高が下がるとともに植生が変わって行きます。茶畑をすぎるとビンロウ(檳榔、学名:Areca catechu)とバナナがたくさん見受けられます。良く見ると道路沿いの植え込みにはマンゴやドリアンまであります。脳天直下のキツイ日差しの中を仕事に戻るのは億劫でした。
翌日には帰国です。またまた事件です。タクシーで空港まで向かっていたら後ろからオバサンが運転する車にオカマされてしまいました。高速道路上でしたが渋滞していたため、幸いにしてスピードも遅く怪我はありませんでした。しかし、交通機動隊の事務所みたいなところに連れて行かれるわ、代わりのタクシーはなかなか見つからないわ、空港到着はフライト30分前。冷や汗と空港を走り回った大汗でくたくたです。やはり阿里山に行けば何かが起こる。。。。
笠松滋久