秋ですネ。

私が住んでいる団地の植込みにも、秋の花が満開です。

万葉集には、「山上臣憶良が、秋の野の花を詠める歌二首」があります。

(その1) 秋の野に咲きたる花を指折りて かき数ふれば七種(ななくさ)の花
(その2) 萩の花 尾花 葛花(くずはな) なでしこの花 女郎花(おみなえし)
藤袴(ふじばかま) 朝がほの花

この二首目(その2)が「秋の七草」といわれている花で、「朝がほ」の花は今の「キキョウ」の花だそうです。
(その1)のような萩の花の歌は、万葉集のなかに141首も詠まれています。 

万葉時代の人達は、どんな萩の花を見ていたのでしょうか。

京都大学名誉教授の北村四郎先生は、萩の種類を特定せずに、「ハギ類」としておられます。(花の日本文化 昭和46年10月)

同書では、「万葉時代には、ハギでは多くの茎が立ち、枝が垂れ下がっています。その自然のままの姿を好んでいます。その後、平安時代の庭にある草も自然の仕立てであります。」と書かれています。

また、平安時代は、枕草子の一文、

萩、いと色ふかう 枝たをやかに咲きたるが、
朝露にぬれて なよなよとひろごりふしたる

を引用されて「のびるがままに、たおれるままに、自然の姿で観賞しています。」とあります。

さて、わが団地内の植込みには、在来種・外来種を含めて4種類の萩の花を見つけました。
木本の萩は「ミヤギノハギ」、草本は「メドハギ」「ネコハギ」「アレチヌスビトハギ」です。

「ミヤギノハギ」は園芸樹として団地内に植栽されています。
万葉時代のとおり、垂れるがままに任せた自然樹形を保ち、「伸びる、撓(たわ)む、絡(から)むなどの姿が、致し方の無い美女にも似て、また違った魅力がある。」 と昔からいわれている「砂ずりの枝」の状態です。

「メドハギ」と「ネコハギ」は地表に這(は)っていますので、探すのは大変ですが、「アレチヌスビトハギ」は大群生している場所もあります。3種類ともに自然生えです。

「アレチヌスビトハギ」は北アメリカ原産で、昭和15年に大阪で最初に見い出されたそうです。残念ながら、大阪のどこで発見されたか詳しくはわかりません。
在来種の「ヌスビトハギ」の節果が2節あるのに比して、外来種の「アレチヌスビトハギ」の節果は4~6節ありますので、見分けは簡単です。

澤田 清

 

メドハギ

メドハギ

 

ネコハギ

ネコハギ

 

アレチヌスビトハギ

アレチヌスビトハギ

 

ミヤギノハギ

ミヤギノハギ