気象庁によると、2011年の秋の平均気温は平年より1度高く、統計史上5位内に入る暑さだったそうである。そのため各地で紅葉(黄葉)が記録的に遅れた。 御堂筋のイチョウは12月半ばでまだ黄葉の盛りである。
イチョウといえば青森県に、以前から見たいと思っていた「北金ヶ沢の大イチョウ」(幹周:22m 樹高:31m)という日本で一番大きいイチョウの木がある。
昨年末に新幹線が青森まで開通したし、今年こそは行こうと思い、どうせ行くなら黄葉の頃がいいので、毎日、黄葉の状況をチェックしていたが、11月に入ってもなかなか黄葉しない。(「北金ヶ沢の大イチョウ」は近くにライブカメラが据えてあり、パソコンでリアルタイムに黄葉の状況を見ることが出来る。)
ようやく20日頃に少し色づいてきた。雪も心配なので、22日に行くことにする。朝早く新幹線で大阪を立ち、東京駅で乗り換え、新青森駅には12時43分に着いた。1年前に開業した駅を出ると、周りは何もなくあたりは雪で真っ白であり、少し不安になってきた。
気を取り直し、レンタカーを借りて、新青森駅を13時に出発。雪道をゆっくりと「北金ヶ沢の大イチョウ」を目指し車を走らせる。ちなみに「北金ヶ沢の大イチョウ」は津軽半島の付け根の西津軽郡深浦町にあり、日本海に面している。
そして14時30分に無事、「北金ヶ沢の大イチョウ」に到着した。第一印象は「めちゃくちゃ大きいなあ」である。日本で一番大きい木である「蒲生の大クス」よりも大きく見える。まるで大きな森のようでその迫力に圧倒される。
この木は地元では、「垂乳根のイチョウ」と呼ばれている。たくさんの気根のついたイチョウは、昔から乳の出ない母親たちに神木として厚く信仰されているそうだ。
すぐそばをJR五能線が通っている。JRで揺られ、お酒を飲みながらこのイチョウを見るのも風情があっていいだろうと思う。わざわざ大阪から来た甲斐があった。なんだか幸せな気分にしばらく浸っていた。
近くにある「折曾のイチョウ」(幹周:12m 樹高:20m)にも寄ってみた。
この時は猛吹雪で前が見えない。海からの冷たい風は真冬のようである。
「折曾のイチョウ」は黄葉も盛りを過ぎ、大分散っていた。風が強いから散るのも早い。でも雪の中のイチョウもいいものである。
今回の紀行で大阪から青森は、日帰りが可能なことがわかった。しかし日帰りは、年寄りには少しせわしない。どうせなら一泊以上留まり、温泉につかり地酒を飲み、ゆっくりと観光するのがベターである。 真田 俊秀