南海電鉄の高野線は大阪府の難波駅から和歌山県の高野山へ向かいます。その道中の大阪から和歌山へ越境しようとするところで、その県境の山の麓に天見駅があります。
天見駅は無人の小さな駅です。その付近は、民家などの建物がいくらか見られる他はほとんど山林です。
その天見駅から南西へ約1kmの所に八幡神社があります。
見えてきました。あの赤い橋の向こうです。
この神社の社殿は谷間の急な斜面地にあり、山を背にして谷に表を向いています。鳥居、拝殿、本殿が非常に接近した配置になっていますので、参拝者はその急な谷底から這い上がってお参りしなくても、社殿の横方向から接近して正面に向き直ってお参りできるようになっています。
さて、この社殿の横に大阪府指定天然記念物の「流谷八幡神社のいちょう」があります。このイチョウは大きく立派な木ですが、急な斜面の山林地にあって周囲に大きな木がありますので、離れた所から眺めていると、このイチョウだけが特別に大きいようには見えません。
近づいてよく見てみましょう。
地表面に根がビッシリと張り付いているように見えます。急な斜面地にあるため、根の周りの土が少しずつ谷側へ流れて失われ、その結果、多くの根が地表面上に露出したものと思われます。その根の流れるような曲線や複雑に絡み合った様には根の動きが見て取れます。何か動的で力強い意思のようなものが感じられました。
(うどん子)