昨年(平成24年)、上海に行った時のことです。上海の空港に到着後、入国審査を済ませて両替しようと銀行の窓口に行った際、財布が無いのに気付きました。ちょっと前に財布の存在を確認していたので、入国審査から荷物受け取り場所までの20分程の間に財布がなくなりました。入国審査の行列待ちの間、あっちこっちに電話していたのですが、その際にスラレタと思います。電話で集中力が欠いていたのでしょう。。。。悔しい!
空港内の忘れ物預かり場所、警察を駆け回り届けを出しましたが、出てきませんでした。クレジットカード類は別にしていたのですが、飛行機のマイレージカードや電車のイコカやピタパなどは一緒にしていました。現金はいつも多少分散して持つようにしているので全額損失には至らず、とりあえずのお金は何とかなりました。
しかし、悔しい。今まで何度も渡航しているが財布を失くしたのは初めてです。よく海外でスラレタ、泥棒にあった、などの話を聞きます。私の友人はインドの空港で荷物を受け取って出口で同行者を待っている際、横に置いていたコロコロ式の旅行カバンを体格の良いインド人に持ち上げられ、そのまま逃げるかと思いきや、手を出して「返して欲しければ金払え」と恐喝にあったようです。結局数千円程度のお金を払ったようです。
上海の空港ではビラを配っている人に要注意との話を聞きました。ビラを受け取る瞬間に財布をスラレル被害が多いようです。複数人数での犯行のため気付いて指摘しても財布はすでに他の人に渡って証拠は出てきません。
正直私はスリに会うのがバカだ! 海外で気を抜く愚か者! と思っていました。私もバカで愚か者でした。皆さん、海外旅行の際には十分気をつけてください。
さて、泥棒の話のついでと言ってはなんですが、上海近郊の泥についてのお話です。下の写真は飛行機の窓から写した上海近郊の海と陸地の境の所です。良くわからない写真ですが、右下側の緑色っぽく見える部分が陸地です。左上側が海です。長大な大河は多くの泥を運び出します。多くの養分を含んだ泥が作り出す平野は農業が栄え文明が発達しました。しかし、現在の中国においては三面張りの整備された護岸となり、平野に氾濫することはありません。すべての泥が河口に向かいます。その結果海岸部は灰色の泥の海となっています。この乳濁した沿岸部が延々と何百キロも続くそうです。上空から見ると乳濁した海が砂漠のようにも見え、船が砂漠を航海しているように見えました。
中国の大河によって運ばれた土の粒子は非常に細かい粒度を示します。湖岸近くの土壌を調査したことがあるのですが、土性分析によるとHeavy Clay(重埴土)~ Light Clay(軽埴土)の粘土細工や陶器が出来るほどの粘土質を示しました。日本最大の信濃川でさえ延長は367㎞にすぎませんが、上海を河口とする長江は6,380㎞もあります。長い道のりを運ばれた土砂は非常に細かな粘土粒子です。
細かい粘土粒子は保水性と保肥性に優れ、農地として優れる場合が多いのですが、緑化用土壌としてみると問題の多い土です。農地は頻繁に耕します。それによって適切に土が軟らかくなり通気性が良くなります。しかし、樹木を植栽した場合土壌を耕すことは困難です。そのため、通気不良や排水不良になり根腐れをおこしてしまいます。上海市内で樹勢が衰えている樹木の多くは根腐れが多いように見受けられます。
「簡易土性判定法(日本農学会法)」で確認した上海近郊の土壌です。土をこねて伸ばすと10cm以上の細いひも状になりました。関西のマサ土は粒子が粗くひも状になりません。関東の火山灰土はひも状に延ばすことができますが、せいぜい5cm程度の長さにしかなりません。
笠松