植物の葉を見ておりますと病気の兆候を示す『病斑』がたくさんあります。

 

病斑1

病斑1

 

病斑2

病斑2

 

 樹木の治療にあたる際、被害をもたらしている病原がいったい何であるかとういうのは実に重要ですので、この病原を追及するために顕微鏡診です。

 

顕微鏡

顕微鏡

 

 プレパラートを覗きこみますと

 

病斑の状況

病斑の状況

 

と、このように、葉っぱの組織と複数の病原らしき何か?が入り乱れて見えます。これで主原因が明らかなら上々なのですが、なかなかそうはいかないものです。

そこで、病原の存在する組織を切り取り、寒天培地で培養します。

 

培地

培地

 

 この際、コンタミを起こさないよう、シャーレを茹で上げ、培地の溶液を殺菌し、シャーレに移してさらに殺菌を行いと、行程の開始から終了まで、殺菌につぐ殺菌の連続で、70%のアルコール水溶液は友達のような存在です。

 殺菌が完了しましたら、病原を持つ組織をシャーレに移して、数日培養します。
培養が終わると・・・・

 

培養後

培養後

 

このように、切り取った葉の周囲に白色の変化が出ました。この白色の変化は、実はあまり歓迎できない変化でして、サンプルの取り方が悪い場合、このような変化になることが多く、ちょっとドキリとします・・・。
う~むむ・・・とうなりつつ、これを顕微鏡にかけますと

 

400倍

400倍

 

 400倍の世界にて微生物の大行進が確認できました。今回は動きがあまりに激しかったので暗視野で確認しますと

 

暗視野

暗視野

 

 やや黄色いのがバクテリアです。今回は非常に大きなバクテリアが確認できましたが、これはサンプル採集後に取りついた腐生性のバクテリアの可能性が高いものです。そして写真中央付近に写る虫のような何か?これが重大です。

 

ペスタロチア

ペスタロチア

 

 1000倍まで拡大するとまるで虫のような姿がはっきりと確認できます。これはペスタロチアという葉枯れ症状を出す厄介な病原です。
 病原が分かりましたところで、使う薬剤や処置の方針を決めていきます。
 さ~て、この病原、どうしてくれましょうか・・・・

笹部雄作