春は華やかなサクラの花に目が行き、他の樹木の花はあまり目に留まらないことが多い。特にカエデの仲間はあまり目立たないこともあり、いつの間にか花が咲いて実をつけています。
しかしよく見れば、カエデ属はそれぞれに特徴があり、春になれば、かわいい花を着けます。そんなカエデ属の花を紹介します。
最初はウリカエデの花です。ウリカエデはカエデ属の中では一番小さな葉を付けます。花は早春に黄色い総状花序の花をたくさん着けます
次はウリカエデによく似た緑色の樹皮をした木でウリハダカエデの紹介です。
ウリハダカエデの葉はカエデ属の中では大きくなり、秋には鮮やかな赤橙色に輝きます。花はウリカエデによく似た、黄色い総状花序の花です。
次はチドリノキの花です。
カエデ属は掌状の形をした葉をもつものが多いが、チドリノキは切り込みのない単葉で、一見するとカエデの仲間には見えません。淡緑色の総状の花が風にゆらめく様は風鈴みたいで風情があります。
次はメグスリノキの紹介です。
メグスリノキも葉は掌状ではなく、3小葉からなる複葉で、これも外観からはカエデ属とはわかりにくい形をしています。しかし秋になれば鮮やかな赤橙色に紅葉し非常にきれいです。名前のとおり、むかしから目の洗浄薬として重宝されました。近年は漢方薬としての需要が高く、乱伐されて山では少なくなっています。春に小さな散形花序の花を着けます。
そしてミツデカエデも葉が3出複葉で、カエデ属とは気づきにくい木です。しかし花の時期になると長さ4~15cmの黄色い総状花序の花を一杯つけ、急に華やかになります。
深山に生えるアサノハカエデの花です。
アサノハカエデの葉は掌状で5~7裂していて、秋には薄黄色に紅葉します。春には淡黄緑色の短い総状花序の愛くるしい花を一杯着けます。
最後にイタヤカエデの紹介です。
イタヤカエデはカエデ属の中では大きくなる木として有名です。そのせいか木材利用の高い木で、床板などの建築材や家具などに加工され、公園や街路などに多く植栽されています。葉は他のカエデ属と違い、鋸歯がなく全縁なのが特徴です。
花は春に直径5~7mmの黄緑色の小さな散房状円錐花序を樹冠一杯につけ、花の時期は、遠くからでもイタヤカエデであることがよくわかります。
以上のカエデ属の花は、今年私が4月~5月にかけて奈良県の大峰山系で撮影したものですが、カエデ属はこれ以外にもまだたくさんの樹種があります。機会があればまた紹介したいと思います。
真田 俊秀