2014年の正月から「稲村ヶ岳」(標高1,726m)の夕映えを撮るために、何度もチャレンジしているが、なかなかうまく撮ることができないでいた。
「稲村ヶ岳」が一番形良く、迫力ある姿で見える場所は、観音峰の南側にある観音峰展望台(標高約1,220m)である。
観音峰展望台は、登山道の入り口からはゆっくり歩いて約90分程で着くことが出来、非常に手頃な登山コースになっていて登山者も多い。夕映えを撮ろうと思えば、太陽が沈む時に山が晴れていて、夕陽が山に当たることが条件となってくる。
しかしせっかく山が晴れていても、夕方は太陽が雲に隠れ、夕陽が山に当たらないことが多い。また夕陽が当たっても肝心の山が雲で隠れていることもあり、なかなかこの条件を満たす瞬間は1年のうちでも限られてくる。
さて2014年もあとわずかの12月19日、登山口を13時30分過ぎに出発し。観音峰展望台を目指す。雪はあまり多くなくアイゼンなしでも進める。しばらく歩くと汗が出てきて、Tシャツ1枚でも寒くない。15時頃、観音峰展望台に到着。青空が広がり、雪をまとった稲村ヶ岳が目の前に見える。
そのままそこで夕時までじっと待つことにする。そしてだんだん日が暮れてくる。
西の方向を見ると、いつのまにか雲がたくさん湧き出て太陽が見えない。
稲村ヶ岳もぼんやりと暗くなってきた。今日もダメだったかと頭もうつむき加減になる。ちなみに、何故夕焼けは赤くなるのであろうか?
答えは朝焼けや夕焼けの時は、光が大気中を通る距離が一番長くなるので、波長の短い青い光が多く散乱され、波長が一番長い赤い光がよく通るため赤く染まるそうである。
あきらめかけていたその時、雲の隙間から太陽の光が顔を出し、何と稲村ヶ岳に当たったではないか。
西の方向を見ると、太陽は和歌山県田辺市に沈みながら周りを紅く染めていた・
再び稲村ヶ岳に目を戻す。
山に雪が残っていたため、余計に紅く染まった稲村ヶ岳を見ることが出来た。時間にして3分程だったが、大変感動した。
今まで何回も失敗しているだけに喜びもひとしおである。
星空は残念ながら、雲が多くて見れなかったが、念願の夕映えが見れたので心のなかで感謝しながら、真っ暗な山道を下山した。
真田 俊秀