古くから日本四名山と呼ばれている山がある。それは、富士山、立山、御嶽山、大山の4つの山のことで、いずれも信仰の山として有名である。しかし大山以外の3つの山は標高が3,000mを超えているのに対し、標高が1,729mしかない大山が選ばれているのは意外な感じがする。
その大山は鳥取県に位置し日本海に面していて、冬は雪や曇りの日が多く、あまり晴れている日は少ない。
平成27年2月20日、天気予報では高気圧が日本に張り出してくるとのことだったので、大山に向かって車を走らせる。
大山を望む好ポイントとして鍵掛峠(標高912m)があげられる。鍵掛峠から北を望むと大面積のブナ林が拡がり、その上には大山南壁の無数のガレ場が一望できる。新緑や紅葉の観光シーズンには多くの車で混雑する場所でもある。
しかし、冬場は雪のため車は通行止めになり、鍵掛峠へ行くには奥大山スキー場から徒歩でしか行くことができない。
さて、奥大山スキー場に午後2時頃到着。さっそく登山の準備をし、雪道を歩く。積雪は2m~3mくらいか。天気がいいので雪道を歩くのは気持ちがよい。
途中から雪をまとった烏ヶ山(1,448m)が見えてきた。
歩くこと約1時間ほどで鍵掛峠に到着した。春や秋には多くの車であふれていた駐車場は、人っ子一人いなく、ひっそりと静まり返っていた。トイレは雪に埋まって入ることもできない。
お目当ての大山は少し雲がかかっていたが、雪をまとった大山は神々しく、じっと見ていてもあきない。
夕焼けを期待して、そのまま待機。やがて雲もとれて雪に覆われた大山の全貌がはっきりと見えてきた。
夕方になって太陽が西に沈む頃、急に大山に雲がかかってきた。残念ながら期待していた夕焼けは望めなかった。
太陽が沈んだあと、西の空には月が後を追うように沈んでいた。
そして星空を撮るため、そのまま暗くなるのを待つ。さすがに太陽が沈むと急に寒くなってきて、手足がしびれるように痛くなってきた。
日没、1時間後位にやっと暗くなってきたので大山にカメラを向ける。しかし米子市内と桝水高原スキー場の光が西方向から射していて、空はあまり暗くならない。
鍵掛峠から大山はちょうど北の方向なので、そのままシャターを15分ほど開けておくと、北極星を中心に星が回転しているのがよくわかる。
夜、8時過ぎに、登ってきた道を下山し、その日は奥大山スキー場の駐車場で車中泊をする。ここで気温はマイナス5度だった。早速ビールを飲んだが、寒いせいか1本飲むと体の芯まで冷えてきて、やはり冬山ではビールよりも熱燗のほうが良いことが身に沁みてわかった。
真田 俊秀