大和川(大阪府柏原市)

大和川(大阪府柏原市)

 

 ここは大阪府柏原市です。奈良から大阪へ流れてきた大和川と、大阪南部から北へ流れてきた石川が、ここ柏原市役所の前で合流します。合流した大和川は西へ流れて大阪湾へ続いています。

 

 

大和川堤防上の一本道

大和川堤防上の一本道

 

 この大和川の合流地点の堤防上を西へ(大阪湾の方へ)続く道があります。見晴らしが良く気持ちの良い道です。この道は自動車の通行が禁止されてるため、安心してウォーキングやサイクリングができます。ここから大和川の河口までは、このような気持ちの良い道と一般道を行き来しながら、距離にして20km程です。20kmといえばウォーキングには距離が長すぎますが、サイクリングなら速い人で1時間程度、のんびり進んでも1時間半くらいで行けそうです。道は平坦でアップダウンはほとんどなく、ほぼ一本道の容易な道です。

 

 

 今日はいい天気ですから、この道を河口の辺りまでサイクリングしてみましょう。それでは出発します。

 

 

スタートから数キロメートル地点

スタートから数キロメートル地点

 

 数km進みました。

 ハァ、ハァ、ハァ・・・苦しいです。海からの強烈な向かい風が堤防上に吹き付けます。確かに道は平坦ですが、この強烈な向かい風のため坂を登ってるような苦しさです。これは誤算でした。ここから河口まで10km以上も登坂かと思うと泣きたくなってきます。

 

 

ゴールまであと少し?

ゴールまであと少し?

 

 我慢しても何も得ることのない苦しみに耐えて、さらに数km進みました。ここまで来ると海に近づいてることがわかります。川幅が広くなり、カモメが群れ、わずかに磯の香りが感じられます。あともう少しです。

 

 

木材加工場の周辺

木材加工場の周辺

 

 ついに大和川の河口の辺りまでやってきました。この大阪市住之江区の一画に木材加工場の集まる地区があります。住之江競艇場から西へ1~2km進んだ所の区域です。道路沿いに木材が積み上げられてますのですぐにわかります。

 

 

木材のない貯木池

木材のない貯木池

 

 そして、この区域に貯木池があります。ですが、この貯木池に木材はありません。水面だけが広がる寂しい光景です。そういえば周辺の木材加工場に活気が無かったような気がします。国内林業の衰退、製造工場の国外移転などにより、この貯木池はもう使われなくなったのでしょうか。
 畑作におけるナス、ニンジン、タマネギなどのように、樹木は林業における林産物でもありますし、木工製品の原料でもあります。しかし、近年は樹木といえば自然環境や都市緑化の側面から語られることが多く、こういった林産物の面から樹木を見る意識が希薄になってるように思います。そのことが、この貯木池の光景に現れてるのでしょう。
 そんなことを思いながら眺めてると、ふと、足元の水面に何か動くものが見えました。亀ではありません。小さい哺乳類のようです。その小動物はゆっくりと泳いで岸へ近づいてきました。

 

ヌートリア?

ヌートリア?

 

 そして岸へ上がったところをよく見ると、それは大型のネズミのように見えます。猫より一回り小さいくらいの大きさですから、ネズミとしてはかなりの大型です。もしかすると、これが外来ネズミのヌートリアというものでしょうか。この小動物は岸辺でしばらく毛繕いをした後、水中へ戻っていきました。

 打ち捨てられたかのような寂れた貯木池。そのドス黒く濁った水面から現れてゴミの散乱する岸辺に這い上がる巨大ネズミ。居た堪れずにその場を去りました。

(うどん子)