『泣くような努力をしているか?』
私の先生が何気に言われた言葉が、いつも心に引っかかります。
自分の名刺に樹木医という肩書が乗るようになって随分時間が経ったように思うものの毎日様々な疑問は増えるばかり。そういう疑問をやっつけようと色んな努力をするのですが、独力だけでは妙な方向へ勘違いしたまま迷路にはまる事も多々あります。ということで、灼熱の大阪を離れ1週間の予定で茨城県にある研究機関を訪ねました。
今回の目的は植物病害の診断について、生物顕微鏡・実体顕微鏡の操作から、病原菌などの短胞子分離・培養・同定、細菌病・ウィルス病などの対処が困難な病原の診断・検査方法の確認と特に大きなうねりとなってきたPCRや抗体による検査法の“現在”をきちんと学ぶことにあります。
この時大阪は連日の猛暑でしたが、この地では美しいミンミンゼミの声が響き、涼しい木陰と涼やかな風に包まれ、まるで避暑地に来たかのようです。(大阪のみんなゴメン)
今回の研鑽は
糸状菌の培養
細菌病・センチュウ・土壌病害の検査法
ウィルス病については抗体試験・コッホの3原則に従ったウィルスの接種試験・電子顕微鏡など様々な診断技術について連日取り組むことになりました。
といいましても今回の範囲は樹木・果樹に限らず広く植物全般にかかわる病理です。
例えばニンジンの線虫病一つ見ても
一般に流通・販売されることはまぁありませんので、専門の世界でしかお目にかかれない状態です。毎年どんどん新しい植物病害が出現し、それを瀬戸際で食い止めようと厳しい戦いが各地で繰り広げられます。
そして診断技術・試験方法・ネットワークもどんどん変わっていきますので常々、基本と最新技術を追い続けていかなければならない宿命が専門の道にいる者に課されます。
笹部雄作