連日・連夜、猛暑が続きますネ。 皆様、お元気ですか?
木や花も一雨欲しいことでしょうネ。しっとりと濡れて咲いている花も良いものですネ。
雨に咲く花。 昭和10年(1935年)、私が生まれた年の暮れ、タンゴの美しい歌謡曲が発表されました。
世界は軍靴の響きが大きくなって、翌11年2月に2.26事件が起こり、その筋の圧力も強くなってきて、のんびりとタンゴなど歌っている時代では無くなりました。
別れた人を 想えば悲し 呼んでみたとて 遠い空
雨に打たれて 咲いている 花が私の 恋かしら
内務省から査察が入り、題名や歌詞はズタズタになりました。この歌詞では当然でしょうネ。
これが今から約80年前の姿です。
それでは約1000年前はどうだったでしょうか?
清少納言の枕草子(平安時代中期、西暦1000年頃)の美しい文章と古今和歌集(平安時代初期、西暦905年頃)に美しい和歌が詠まれています。
「木の花はこきもうすきも紅梅。(中略) 4月のつごもり、5月のついたちの頃ほひ、橘の葉の濃くあをきに、花のいと白う咲きたるが、雨うち降りたるつとめてなどは、世になう心あるさまに、をかし。」 これは、「4月末、5月の初め頃、橘の葉が濃くつやつやと青いなかに、花が真白に咲いているのが、雨の降った翌朝などにしっとりと濡れている風情は、世にまたとない奥深しい美しさだ。」と言っています。
「春雨に にほへる色も あかなくに 香さへなつかし 山吹の花」
古今和歌集 2-122 によみ人知らず
「春雨に濡れてしっとりとした美しい色もいくら見ても見飽きないほどなのに、その香りまで心にひかれる山吹の花」
どういう感性の持ち主でしょうかネ。
澤田 清