キク科植物で古くから庭や公園に植えられていますが、本来は海岸近くの植物です。 波打ち際の岩の根もとや防風林のきわなどに自生しています。
自生している地域は広く、太平洋側は福島県の海岸から以南、日本海側では石川県以南に分布しています。 沖縄の海岸にも見られます。
庭に植えられるのは、日本造園様式が景石を配置されている場合が多いので、よく合うためだと言われています。 暗緑色できれいな光沢のある葉は、日本の石組みによく合います。 また、松林や広葉樹林の林縁でも元気に生育しています。
10月から12月にかけて咲く黄色の花も人気があります。 花は比較的に大きく、直径4cmから6cmもあります。 最も大きく咲くものにオオツワブキと呼んで、九州の海岸に自生しているそうです。
九州のオオツワブキは、葉柄を粕漬けにして土地の名産にしているようですが、私は佃煮にします。 我が家の団地には、沢山のツワブキが植えられていますが、これは取りません。 桜が咲いたときに枝を折り取るのと同じ窃盗に類する行為だと思います。
ツワブキは、古くはツバ、ツワ、ツヤと呼ばれていたようですが、今でもこの名前で呼んでいる地方があるそうです。 出雲国風土記は奈良時代の初期、和銅6年(713)の詔勅によって書かれた地誌ですが、天平5年(733)に完成しました。 この地誌のなかにツワブキのことが古名で出ているそうです。
古名はツバ、ツワ、ツヤのどれなのかわかりません。
ツワブキは、漢方薬店ではあまり売っていない薬草ですが、打撲、火傷、霜焼け、痔などに生の葉の汁を塗ると言われています。 一株でもよいので、庭に植えたいですネ。
澤田 清