昨今、情報家電製品はアップルをはじめとするアメリカ、一般家電製品はサムソンを代表に韓国製が世界を席巻しており、ものづくりに長けていたはずの日本企業の出番はすっかり影を潜めた感があります。
 しかし、我々の用いる道具はやはり日本製が一番です。少し前のブログに、笹部さんがインドネシアの手斧などの工具を紹介されておりました。焼きが入っていない軟らかい鉄で、すぐに欠ける刃と記されていました。そして日本製の刃物の優秀さを記されていました。
 私は先日、中国で土壌調査をしてまいりました。調査に際して日本から穴掘り道具を送りましたが、シャベル(ケンスコ)だけはどこにでもあるので、現地調達することにしました。なんと新品の中国製ケンスコは、少し穴を掘っただけで柄が根本から折れてしまい使い物にならなくなり非常に困りました。それに比べて日本から送った金象印の複式ショベル(ダブルスコップ)とらせん穴あけ器の素晴らしいこと。穴掘り道具もやはり日本製が優れています。

 

わずかこれだけ掘っただけで折れてしまった柄

わずかこれだけ掘っただけで折れてしまった柄

 

日本から持ち込んだ工具。一番上は現地調達したショベル。

日本から持ち込んだ工具。一番上は現地調達したショベル。

 

使い勝手がよい日本製らせん穴あけ。深くまでストレスなく穴があけられた。

使い勝手がよい日本製らせん穴あけ。深くまでストレスなく穴があけられた。

 

 話は変わりますが、少し前に瀋陽に行きました。昨年暮れNHKで司馬遼太郎の「坂の上の雲」がドラマで放映されており、あまりテレビを見ない私ですがこれだけは全編見ました。日露戦争における旅順攻撃が詳しく描かれていました。そして奉天会戦により日本が手に入れた満州国の中心となる奉天。この奉天が現在の瀋陽です。
 瀋陽の駅前中心部のホテルに泊まり周辺地図を見ていました。そして昔の奉天の地図と照らし合わせると、都市計画自体は昔の奉天と全然変わっていません。もちろん大きな高層ビルが立ち並ぶ大都市に変化はしているのですが、区画整備は奉天当時のものです。

 

76年経っても変わっていない区画

76年経っても変わっていない区画

 

また、建物も日本統治時代のものが多く残っており、そのまま活用されています。

 

奉天の地図に現在の建物の写真を表示

奉天の地図に現在の建物の写真を表示

 

 長年の歳月がたっても活用されている日本統治時代の区画整備や建物。ロシア時代の建物は少なく、その後に立てられた中国の建物は老朽化して立て直されています。日本の先人達の残した都市が今でも活用されているとは凄いことだと思います。
 日本のもの創りが衰退していると言われますが、瀋陽を見て、我々も後世に残せる仕事がしたいものだと改めて感じさせられました。

笠松滋久