平成24年6月末にシンガポールに行ってきました。私にとっては13年ぶりのシンガポールです。関空を出発して韓国・ソウルのインチョン空港を経てシンガポールはチャンギ空港に入りました。インチョンもチャンギもさすがアジアのハブ空港です。規模もデザインも関空を圧倒しています。
シンガポールは国土全体が淡路島程度の小さな島国ですが、一人当たりGDPは日本より高い経済が発展した国です。貿易、ハブ空港、金融などがシンガポールを支える産業ですが、観光にも非常に力を入れている国です。
そのためシンガポールではGarden Cityをキャッチフレーズに緑化に取り組み、美しい街並み整備を国策として推進してきました。今回久しぶりに行って驚いたのはGarden CityのキャッチがCity in a Gardenに変わっていたことです。単なる緑が多い都市ではなく、緑の中の都市に変わっていたのです。国をあげての緑あふれる国土の創造は感心させられました。現況の日本と比べるとうらやましい限りです。
シンガポールの観光スポットと言えば、まずはマーライオンが挙げられます。シンガポールの国名の由来はサンスクリット語でライオンの意味らしく、マーライオン(Merlion)は国の守り神とされていたそうです。マーはmermaid(人魚)の意味ですから人魚姫ならず人魚ライオンと言うことですか? 世界三大がっかりスポットにコペンハーゲンの人魚像、ブリュッセルの小便小僧、そしてシンガポールのマーライオンが挙げられています。私自身は以前に見たことがあるので、暑い中をわざわざ見に行く必要はないと思っていたのですが、マーライオン正面にできたマリーナベイ・サンズをバックにマーライオンの写真を撮るのが今のトレンドと聞きミーハーな私は早々見に行きました。マリーナベイ・サンズはSMAPが出演している某携帯電話のコマーシャルの撮影場所で日本人に良く知られる斬新な建物です。
ところが行ってビックリ、なんとマーライオンに改修用の仮囲いがされているではないですか。せっかくのカメラ構図が台無しです。確かに世界三大がっかりでした。
その後、マリーナベイ・サンズに行きました。55階建ての3つのタワーの上部が船の形の構造物でつながっています。最上階57階の船の形の部分にはホテルのプールや屋上庭園などがあります。デザインの好みは人それぞれ分かれるところですが、いずれにせよ派手なデザインです。建物にはホテル、ショッピングモール、カジノが入っており、現在のシンガポールのランドマークとなっています。
屋上庭園のヤシノキは簡単な支柱が取り付けてあるだけでした。高さが200mもある屋上庭園ですから台風のある日本ではヤシノキが飛んで行きます。シンガポールでは台風が無いそうです。
眼下の海側にはこの7月にオープンする公園Gardens by the Bayが広がっています。City in a Garden構想の一環と思われますが広大な公園です。公園内には高さが50mもあろうかと言うモニュメントが建設されていました。よく見ると、それらは樹木の形をしており、モニュメントの柱部には植栽がなされています。つる植物でも登坂させているのでしょうか。やがて高い枝の部分にまでつるが伸び樹木の様になるのでしょうか。残念ながらオープン間近の現場には入ることができず確認できません。今度来る機会があればどのようになっているのか確かめたいと思います。
川の河口にダムがありますが、これはマリーナ・バラージ(marina barrage)と呼ばれる河川の淡水化施設です。水の大半を隣国マレーシアから購入しているシンガポールでは、雨水の確保は最重要です。河口をせきとめ河川の水を貯めると共に海水の流入を防いでいるそうです。
水が無いのにこれだけの緑化を進めるのはすごいですね。確かにスコールがありますので、公園や街路樹の灌水は不要と思いますが、壁面緑化や屋上緑化もたくさんあるので、すべてが無灌水と言うわけでもありません。
これだけ積極的に緑化に取り組んでいるシンガポールは、樹木医はじめ緑に関わるものは一見の価値ありです。
沖合いはマラッカ海峡で多くの船が見える。河口の堰き止めがmarina barrage。白い貝殻のようなデザインの建物は植物園。公園内には緑化された大きな樹木のようなモニュメントが数多くあります。
笠松 滋久