3月に入り、スギ花粉の飛散がピークを迎え、非常に息苦しい日々が続いています。
景色は春めいて来ましたが、奈良の奥山はまだ厳しい冬の衣装をまとっていて、春はまだ先です。しかし、木々のなかには、そろそろ春を意識して動き出しているものもあります。そんな木を探して平成26年3月1日に山にでかけました。
場所は奈良県天川村の神童子谷で、天気は曇り空。
1月の山は荒涼とした感じでしたが、3月になると少し色めいてきて、まさに「山笑う」といった風景もすぐそこです。
川沿いの林道のそばには、ケヤマハンノキがたくさん生育しています。朱く色づいた雄花がたくさん垂れ下がっていました。
次も渓流沿いにたくさん生えているフサザクラです。去年の花がらのそばで光沢のある固そうな新芽がしっかりと見えました。
次も渓流沿いでよく見かける樹木で、バッコヤナギという木です。早いもので新芽が展開する前に白い綿帽子みたいな花を咲かせていました。
次は、爪楊枝に利用され、春になると小さな黄色い花をつけるクロモジです。花芽はまだまだ固そうでした。
紅く色づいた新芽をいっぱいつけているのは、秋の紅葉が美しいホソエカエデです。幹はウリハダカエデによく似ています。葉が真っ赤に紅葉しますが新芽も赤く、よく目立ちます。
次の樹木も梢と新芽が紅く、遠くからでもよく目立つ、アカシデです。シデの仲間には、クマシデやイヌシデ、サワシバなどがありますが、このアカシデが一番紅く、山を紅く染めるのにこのアカシデは大いにその役割を果たしています。
春の訪れを一番感じるのは、このタムシバです。別名、ニオイコブシといい、花には芳香があります。白い産毛につつまれた蕾は、今や遅しと開花の準備をしています。
ぶらぶら歩いているとマンサクの花に出会いました。黄色い花弁は、まるでリボンのようで愛らしい花です。マンサクには、いろいろな園芸品種が公園などで見られますが、野生のマンサクは清楚で、ここだけ一足先に春が来たみたいです。
今年は2月が例年に比べて寒い日が続き、降雪量も多く、春の訪れはまだまだ先かと思っていましたが、確実に春の足音が近づいていました。
真田 俊秀